◆26日に控訴審判決 “終のすみか”どうなる
大阪・千里ニュータウンにある大阪府住宅供給公社の賃貸団地建て替えを巡り、同公社が住民32人に部屋の明け渡しを求めた訴訟の控訴審判決が26日、大阪高裁である。街開きから40年が過ぎて、住民の高齢化が進む中、同公社は、室内の段差をなくすなど高齢者に配慮した団地に再生したい考え。しかし、住民側は家賃が上がるため、「年金暮らしの身にとって出て行けというのに等しい」と反発。「住み慣れた部屋で生涯を終えたい」との声もある。被告住民の大半は60歳以上。高齢者に優しい〈終(つい)のすみか〉とは――。
対象の団地は、「新千里西町団地」(豊中市)。
今年3月の1審・大阪地裁判決などによると、1968年2月完成。5階建てが8棟あり、計270戸。どの部屋も間取りはほぼ同じで広さは45平方メートル、家賃は4万1950円。
公社が建て替え計画を住民に示したのは、2002年9月。棟数を5棟に減らし、7〜12階建てに高層化するもので、「高齢化社会に対応する」としてエレベーターを付け、室内の段差をなくしてバリアフリー化する予定だ。
計画では、ほとんどの部屋は広くなるが、家賃が7万8000〜12万5000円に上昇する。旧住民への減額措置があるが、最も狭い部屋でも入居3年目以降は現在より高くなり、11年目以降は減額措置が原則なくなるため、一部住民が建て替えに反対した。
しかし、同公社は04年6月を立ち退き期限とし、応じなかった34人を同年11月から順次、提訴した。
訴訟で住民側は「生涯住み続けたいと考えており、この心情は法的保護に値する」と主張。「年金生活者が多く、いずれ家賃が払えなくなる」と、リフォームでの対応などを求めた。
1審判決は現在の団地について「一人暮らし用の広さしかなく、段差も多い。現在の社会が求める住まいの水準を満たしていない」と指摘。リフォームは構造的に限界があるとし、建て替えの合理性を認め、住民に部屋の明け渡しを命じた。
33人が控訴し、同高裁が和解を打診。同公社は8月、移転費用として1戸あたり20万円を支払うなどの和解案を提示し、1人は応じたが、32人が拒否した。
◆9割が転居、新団地の完成待つ人も
団地には現在、被告やその家族ら約70人が暮らす。住民側は家賃相当額を法務局に供託している。
74年に入居した被告の一人、山口岩次郎さん(69)は「ここで娘を育てて嫁に出し、母親を看取った。古里のような場所で余生を過ごすつもりだった。収入が下がるのに家賃が上がるのは、高齢者にとって追い出されるのと同じだ」と憤る。
「公社は住民の声をよく聞け」。団地のあちこちにそんな看板が設置され、対立の深刻さを物語る。
だが、住民の9割はすでに転居。一時転居し、近隣の賃貸住宅などで新団地の完成を待つ「戻り入居者」は約65世帯いる。計画提示から5年、立ち退き期限から3年。仮住まいが長期化しているため、同公社には「入居待ちの間に亡くなった人もいる。いつになれば帰れるのかがわからず、しんどい」という不満も寄せられているという。
同公社は、「建て替えのニーズと、被告らが住み続ける必要性を比べ、建て替えが勝るとした1審判決は当然の判断」と評価。「控訴審でも主張が認められ、早期に建て替えを始められると信じている」とする。
(2007年12月8日 読売新聞)
2007年12月08日
千里ニュータウン建て替え 明け渡し訴訟
posted by リフォーム at 00:00| リフォームに関する事故・訴訟
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